ブラックミュージックその2

自己流発声法に限界を感じ、いい声の出し方から、いい声が出る身体の作り方にシフトチェンジした鳩山メソッド。

いかに楽に自然に簡単に、理にかなった、コスパの高い体の使い方ができるか。

それらを学ぶ中で師匠から示されたキーワードの1つが「腸腰筋」だ。

この巨大な筋肉群が覚醒すると、姿勢が盤石になり、上半身で行うすべての動作を、力まず楽々行えるようになるという。師匠はパヴァロッティの喉を実例に出して説明している。

腸腰筋の存在を教わって以降、自分でも色々調べていたら、「黒人は腸腰筋が著しく発達している」という説を発見した。

黒人の腸腰筋は日本人のそれの3倍くらい太く、そしてそれが黒人の身体能力の高さの根源になっているという。この説を知った時に思い出したのは、黒人ミュージシャンたちだった。

 

顧みると、自分が音楽に夢中になったきっかけは黒人ブルースだった。

歌なんて苦手でしかなかったのに、圧倒的な歌の力を持つブルースマンに憧れて、下手くそなまま歌いはじめた。

歌い続けるうちに壁にぶつかり、それを打開すべく、歌い方以前の、身体の使い方を暗中模索、学び始めた。

そんな紆余曲折の末辿り着いた「腸腰筋」が、自分が高校生の頃、理由もなく好きだった黒人音楽の魅力の根源だったとしたら。過去の自分が理由もわからないのに好きだったことと、今の自分がやっていることが、実はちゃんときれいに繋がっていたことになる。

自分のやってることは間違ってなかったと、ちょっと思えた。