リラックス

コウノメソッド(自分に教えている発声法)の重点が「響きを強めること」から「響きを感じること」に移っている。
身体に声の響きを、振動として感じる。力みを手放しリラックスするほど、響きがそこにあることを強く感じられる。

響きを感じることは、テクニックではない。何かをすることではなく、何かをしないことだ。理想の声を追求する事ではなく、今出ている声を受け容れることだ。
響きを集中させる顔の形を作るとか、呼吸を支える身体を作るとかより、よほど簡単に見えて、よほど難しい。テクニックじゃないから。ハウトゥーが成り立たない。


リラックス。誰もがそうありたい状態の筈なのに、実際そうあるのは難しいのは何故か。それはリラックスとは、楽ちんと同時に、傷つきやすい状態でもあるからだと気付いた。


身体を無防備な状態にすることは、ものすごく勇気がいる。意識して落とせる力みくらいならわけないけど、無意識へ向かうほど、落とすのは難しい。今までの生き方の総決算であるところの深いところにある癖、それを落とすには「死ぬほど」勇気がいる。


それでも力みを落とし、身体を開き、喜びも痛みも同時に受け止める覚悟ができた時、声は響く。ひょっとしたらそんな声で歌うことを「ハートで歌う」というのではなかろうか。