首をうしろにひく

いかに難しい事を弾けるようになるか、ではなく、いかに同じ事を簡単に弾けるかを追求するのが練習だとしたら、1番の練習は、楽器のメンテナンスということになる。


最近、首を後ろに引き、真直ぐ伸ばすことを意識して生活している。
慢性的に首が前傾している自分にはキープするのがきつい姿勢だが、明らかに声が体に響くようになる。

首をうしろにひくと、連動して脊椎の反り方が変わり、自動的に胸が張り、お腹が引っ込む。よくボイトレの教科書に書いてあった「胸を張って歌いましょう」とはこのことだったのかと、いまさら気付いた。


そんな姿勢を常に意識しつつ生活しているが、気づけば忘れている。しかしそのことに問題はない。問題があるとすれば、忘れていること自体を忘れている時間だ。

忘れていることに気づけたら、再開するだけだ。

それを懲りずに飽きずに繰り返すと、だんだん忘れている時間の間隔も短くなる。そのうち、やっている時間の方が長くなり、そして気づけば無意識でやっている自分がいる。新しい習慣を身につける段取りは、そういうことになっている。


首を引いて胸を張って生活していると、妙に気分が前向きになることに気づいた。
心と体のリンクを実感できる機会が多いのもボイトレの楽しさだ。