姿勢で声を出す

ボイトレの教科書の1ページ目に書いてある「正しい姿勢」に全然ピンとこず、自分の感覚だけを頼りに響く声の出し方を探しはじめた鳩山メソッド。

紆余曲折を経て今、「姿勢」にはまっている。

現在、「どうやって声を出しているか?」ときかれたら、「姿勢で声を出している。」という答えが一番しっくりくる。

発声は段取り9割で、姿勢さえとれれば声は出るのではないか、くらいに思っている。

胸骨と顎を近づけるような感覚で、顎をひいて胸を張り(と言っても外から見てもわからないレベルの動き)お腹の表層の力を抜く。喉のことはほっといて、この姿勢を取ることだけを意識する。この姿勢さえとれれば、喉はどうであれ、声が出る。

高い声へ行くほど、呼吸の力が強くなるのにつられて、お腹の表面にも力が入りそうになる。そこを、逆に力を抜く。表層の力が抜けると、奥で眠っている力(いわゆる筋トレ業界でいわれている「コア」というやつと思われる)が発動して、力を抜こうという意識とは裏腹に、力強い声が出せるようになる。

もっと力を出したい時に力を抜く、という感覚が、今までとあべこべな感覚なので実行が難しくも、面白い。

崖から落ちまいと握りしめている手を、逆に開くような感覚で、身体のコントロールが失われるような恐怖感がある。

しかしその恐怖を超えてコントロールを手放すと、コントロールしようとしていた時には出せなかった声が、何故か出せている自分がいる。

その自分を眺めている瞬間、一瞬自分が誰なのかわからなくなるような不思議な感覚に惹かれ、ワーワー大きな声を出している。

 

 

姿勢で声を出せるようになったので、声を出さなくても発声練習ができるようになった。

上記の姿勢を無意識で作れるように、家で外で、繰り返し、体に馴染ませる。

日々の運動の中にもこの姿勢を組み込む。するとまた新しい発見がある。

師匠の「伸びる縮む」の運動の中で、上記姿勢を試す。すると今までやっていたものとは全く別の運動になった。

胸を張り、お腹の力を抜くほど、足にぐいぐい重みがいく。

見た目は地味なのに、めちゃくちゃしんどい!一呼吸で息が乱れる。

今まではどちらかというと、ただ腕や脚をピンと伸ばす運動でしかなかったことに気付いた。

しかし伸ばすのはそこではなく肋骨と骨盤の間だったと気づくに至り(本には、ちゃんとそう書いてある)、今更ながら「アッ、胴体力だ!」っと思った。やっとスタートラインに立てた気がする。


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