大事なのは意識の置き所

ギター弾いてるところを外から見ると、ピックを振り下ろして弦を弾いているように見える。

しかし弾いている当人からしたら、振り下ろしている意識はない。

意識しなくても、弾こうと決めた段階で、手は振り落ちる。
重力で落ちるので、力さえいらない。
逆に意識したら、余計な力が入って演奏の邪魔になるだろう。

意識するのはむしろ、どこまで振り落とせば一番いい音が出せるか。つまり必要以上に振り落とさない事。
そして重力に反して振り上げる事だ。

ギターのジャカジャカは、往復で1カウントだ。
落としっぱなしで上げることを意識しないと、リズムに乗り遅れる。
逆に振り上げを意識するだけで、ジャカジャカは見違えてカッコよくなる。

意識の置き所は大事だ。
意識の置き所さえわかれば、ハウツーは自ずと導き出される。





声にも同じことが言えると気付いた。

よく声の響くシンガーは、口を大きく開けている。

それを見たら、響く声の秘密は口を大きく開けることにある、と考えるのは自然な流れだ。

しかし多分そのシンガーは、口を開けることなど意識していない。
ただただ、より声を体に響かすために、喉や顔面の奥のスペースに意識を集めている。
そのスペースを広げようとすると、つられて口も大きく開かざるを得ないのだ。


口を開けることなんて全然意識していない。
だからこそあんなに力みなく自然に大きく口が開く、という逆説が成り立つ。




意識の置き所は目に見えないので、自分の体の中から見つけるしかない。
しかしその秘密の意識の置き所を見つけた時の嬉しさこそが、お稽古ごとの楽しさだ。

そして一度自分の中に見つけると、他人のそれも見えるようになるのが面白い。
そうなるとYouTubeを見る楽しさがぐんと増す。