ハウツーの限界と型

一個前の記事でいうところの「肩甲骨を上げる力に拮抗する肋骨の後ろを下に引っ張る力(今のところ前鋸筋と見当をつけている)」を使えるようになったら、声も出るようになった。呼吸のフイゴが見違えて強力になった。世に言う「背中で歌う」とは多分これのことだと思う。




「前鋸筋(おそらく)が使えるようになったら声が出るようになった」

結果から言えば確かにそうなのだが、だからといって、「前鋸筋を鍛えれば声がよくなる」とは限らないところに、ハウツーの難しさがある。

体は、全てのパーツが連動しあって機能している。前鋸筋にしても、肩甲骨を上げる力に拮抗する力として発見したわけだし、肩甲骨を上げる動きにしても、別の違う動きとの関連から発見していった。

体のことに限らず、モノゴトには段階がある。
そしてどの段階にいるかは人それぞれだ。

つまり、前鋸筋を鍛えれば声が良くなる段階の人もいれば、逆に混乱する段階の人もいる、ということだ。
いくらハウツーを知っていても、自分がどの段階にいるかがわからなければ、使いようがない。


そういう意味で、四股などの「型」ってよく出来てるなーと実感する。どの段階の人がやっても、その段階なりの発見がある。その発見を完全に自分のものにした段階で再びやると、更に新しい発見がある。このループはどこまで続くのだろうか。見通せない奥の深さに伝統の叡智を感じる。