ロルフセッション7回目

色んな人のロルフセッション体験記を読んでいると、各々、それぞれ当たりの回があるみたいだけど、俺にとっては7回目が神回だった。

 

7回目のお題は口と鼻の制限の解放。そしてその先の狙いは首を解放すること、らしい。

口と鼻の制限を解放するその方法は、口と鼻に指を突っ込む。まじか!?

初回にこれを聞いて以来、楽しみにしていた回だった。

当然未知の体験だし、鼻に関しては気になっていることが色々あったので、そこに手が入ることで何かしら変化が起こることは予感していた。

しかし、ここまで劇的な変化が訪れるとは、想像すらできなかった。

 

 

果たして指を突っ込まれた。真っ暗な部屋の中を歩くように、潤滑油的なクリームを塗った指サックが、慎重に、ゆっくりゆっくり、鼻の奥へ侵入していく。なるべく全身の力を抜き、なすがまま指の侵入に身を許す。

 

右の鼻の穴は順調に通ったが、左はだいぶ様子が違う。全然入ってこない。先生も指を入れた途端に「オヤオヤ!?」と声を漏らす。

鼻の穴の奥には三つの通り道があるらしい。先生が別の道筋を探っていくと、少しづつ指が入っていく。入ってはいくけど、右とはだいぶ感覚が違う。道が狭い。無意識に強い抵抗を感じているせいか、くしゃみが頻繁に出そうになる。そしてなにより、痛い。それらをなんとか呼吸でおさえつつ、脱力する事で指の侵入に協力する。

 

だいぶ痛いな〜いつまで続くのかしら、と限界を感じはじめたあたりで、指が何かを「プツッ」と破った。これは俺の気のせいではなく、先生も同時に「あっ、プツッていった」っと独り言を漏らした。

 

このプツッの瞬間、間違いようがないくらい明確に、自分が生まれ変わったのを感じた。

指が抜かれると、前から通りの悪かった左の鼻の穴から、ドバドバ空気が出入りする。え!?なにこれ!?呼吸ってこんなに楽にできるものなの!?端的に言って、めちゃくちゃ生きやすい!? どーゆー事?

こんなに息がしやすいのはいつぶりだろうか。久々すぎて思い出せない。少なく見積もって20年ぶり。というか最悪、生まれてはじめての楽さかも。

 

先生曰く、「左の穴の三つの通り道が、癒着して塞がれていた」らしい。「プツッ」は、その癒着を貫通した音だったようだ。

 

顧みると、小さい頃から鼻呼吸が苦手だった。じっとしている時、口を開けっぱなしにしている癖があり、事あるごとに親に注意され続けてきた不愉快を今でも覚えている。

開けっぱなしの口を打開すべく、20代の頃、鼻中隔湾曲症の手術をした。しかし大袈裟な手術の割には、期待したほどには鼻の通りがよくならなかった。この時から、特に左の鼻の通りが悪いことを自覚するようになった。

 

鼻呼吸ができない原因はひょっとすると、鼻の通り道の癒着だったのだろうか。だとしたら、あの入院を伴う痛い手術はなんだったのか。

 

さらには、子供の頃から悩まされた口呼吸の原因が、鼻の奥の癒着だったとしたら。俺は一体いつから、この苦しい呼吸で生きてきたのか!?

「あんな苦しい呼吸しかできない中で、よく頑張って生きてきたなぁ。」自分を労る気持ちが込み上げてきて、たまらなくなる。

 

 

鼻の穴に指を突っ込む。これ考えたロルフさんマジ天才と思った。そんな事、他に誰ができる?病院?整体?ヨガ?

病名のつけられない生きづらさの原因が、左の鼻の穴の奥の癒着にあるなんて、誰が突き止められる?

ロルフに出会えて、そしてこの先生に出会えて本当によかった。感謝の気持ちが湧き上がって止まらない。

そして、何がおかしいかわからないけど、「何かおかしい」と感じ続け、色々なドアをノックし続けた自分も、猛烈に褒めてあげたくなった。